§3

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「迪が入ってきた結界は、星降神社の中のカガリのナワバリみたいなもんだよ。あ、カガリがもともと天界に属す神の一族だってのは知ってるよね?」 「はああ?」  まさかそれは、あの明松北斗(かがりほくと)のことか。 「一体なんの冗談ですかそれは!」 「え、そこから説明しなきゃいけないの? うわーマジ?」  ジンは面倒臭そうな悲鳴を上げたが、それでもかいつまんで説明してくれた。  カガリとやらは今でこそ星降神社に祀られているが、本来は天界に属す位の高い神らしい。だが、天上での(いさか)いがもとで地上へ落とされてきたのだという。 「まったくさあ、いきなりそんなのに天下りされたら、元からその土地に住んでる神とか(あやかし)とかが混乱するっての」  なるほど、天下りとはそういう文脈でこそ使うべき単語か、と迪は変なところでジンの説明に感心してしまう。 「もっとも、最近じゃ星降神社もすっかり(さび)れちゃったけどね」 「あそこのご神体が祟るっていうのは本当なんですか」 「あー、星石には迂闊に近付かない方がいいよ」  ジンは、だめだめ、とでも言うように人差し指を横に振った。     
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