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「あれは、カガリ自身にさえちょっと手に負えないくらいヤバい代物らしいから。油断するとすぐに悪霊なんかを呼び寄せるんだ。そういう奴らに悪用されないように、カガリは強力な結界を張って守ってるのさ」
では、このジンが退治に行ったというのも、その手の輩だったのだろうか。
「それほど強力な結界に、どうして俺があっさり入れたんですか?」
「そう、それね!」
相手の話の矛盾を突いたつもりが、ジンはいきなり身を乗り出してきた。
「迪は『閘』なんだ。特別な力の持ち主なんだよ。神々にとっては招き寄せてでも手に入れたいと思う貴重な存在なんだから、そりゃ、結界なんか意味を成さないよ」
「閘?」
そういえば、あの結界の中で明松もそんなことを言っていた気がする。
「そう。神の霊力を強める力が備わっているんだ」
「ちょ、ちょっと待ってください、まず霊力、って?」
耳慣れない単語ばかりだ。いちいち聞き流すことができない迪は、ともすればつるつると流れていきそうなジンの説明に、懸命に割って入る。
「えー、やっぱそこから解説が必要なのかー」
ジンは、編み込みをした自分の髪の、つむじの辺りをぽりぽりと指で掻く。
「言葉で説明すんのは難しいんだよね。マナ、とかイツ、とも言うんだったかな。要するに神が神として存在する根源的な力のこと」
「はあ」
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