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§3
はっと目が覚めると、自分の寝室のベッドの中だった。
まだ夜が明けていないのか室内は真っ暗だが、枕カバーとシーツと掛布団の感触は、よく馴染んだ自分の寝床のものだ。
まるで激しい運動をした直後のように、全身がぐったりとだるい。それでいて、今すぐ走り出して行きたくなるほどそわそわと落ち着かない。よほど寝苦しかったのか、背中にはびっしょりと嫌な寝汗をかいていた。
確か夜中に星降神社に行ったはずだが、その後、どんな風に帰ってきてどうやって寝入ったのか覚えていない。
「なんだか、えらくぶっ飛んだ夢を見たような……」
はっきりしない記憶に不安を覚えながら、のそりと身体を起こしたときだった。
「あ、目が覚めた?」
「ひっ」
暗闇の中からいきなり声をかけられて、心臓が宙返りをする。
「誰だ! こんな夜中に人の家で!」
慌ててベッドサイドのランプを点ける。
迪が今住んでいるのは、元は祖父母の住まいだった小ぢんまりとした一軒家だ。二人とも亡くなってしばらく経つが、東京の大学で博士課程を修了した迪がこちらの大学の研究職に就いたので、修繕をして住むことにしたのだ。
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