理不尽な jealousy

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理不尽な jealousy

「どうして今日なの?」 と母が言った。 確かにそうかもしれない。 でも一人でゆっくり時間を過ごしてみたかった。 今日のうちに。 私の結婚が決まった頃から、 彼は急に口うるさくなった。 特に食事に関して。 「この味噌汁つくったん、妙子やろ!インスタント出汁とか使うなよ。一発でわかるねんぞ!」 「うるさいなあ!文句あるんやったら自分で作り!」 そんなやり取りを何回繰り返しただろう。 母の料理には文句ひとつ言わないくせに、 私の料理には文句をつけたがった。 彼に文句を言わせまいと、 半分意地になって料理の練習をした。 今、夫も子供たちも、 『お母さんの料理が一番美味しい。』 と言ってくれるのは、 半分は彼のおかげなのかな。 明日、彼が結婚する。 妹になる人は、 美味しいお味噌汁を作ってくれるのかな。 昆布と鰹でちゃんと出汁がとれるのかな。 ずっと子供の頃は、 「お姉ちゃんと結婚する!」 って言ってた。 いつも私のあとをついて来たがった。 私の彼氏には、いつも冷たかった。 「妙子は男の趣味が悪い。」 と、難癖をつけてばかりいた。 私が結婚するときは、 「ふつつかな姉ですが、必ず幸せにしてください。」 と、夫になる人に頭を下げて言った。 「あの時は頭を下げられながら、殴られたような気がした。」 数年後に夫が言った言葉が、少し嬉しかった。 明日、彼が結婚する。 なぜ今日一人になりたくなったんだろう。 順番どうり、私が先に嫁いだのに。 夫も子供もいるのに。 あした、弟が結婚する。 幸せになってほしいと思いながら、 どこかで切ないのは、 妹になる人の、 至らないところばかり思い出してしまうのは、 なぜなんだろう。 こんな気持ちは、ここに置いていこう。 明日は、君の門出を心の底から祝おう。 生意気で、うるさくて、いつも私についてきた 私だけの君が、彼女に微笑みかけるのを 心の底から、喜べますように。 〈fin〉 〈photo by TAKA〉
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