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裏警察の調理場に、三人の男性が集まって会議をしている。
「お前たちを呼んだのは他でもない。
今日が何の日かは言わなくても二人なら解るだろう」
男の内の一人、白銀の短髪を無造作に跳ねさせている藍色の瞳の男性が他の二人を見て、静かに言った。
「いや……解るけど。何でアンタとこいつ、男だけでキッチンに立たないといけないんだよ?」
オレンジの髪に水色の瞳の男性が嫌そうな顔を浮かべて正論を言う。
何故、男だけでキッチンに立たないといけないのか。
狭くはないが広くもないキッチンに男三人が缶詰めになっているのは、むさ苦しすぎる。それよりも青年は、片想い中の女性をデートに誘いたかった。
それは、目の前の白髪野郎に阻止されたのだが。
「何で、だと?愚問だな。
今日はクリスマスイヴの前に神南と神谷、序でにグレイの誕生日だ」
「おま、自分の妹は序で呼ばわりかよ」
「突っ込むだけ無駄だぞ、レイナス」
真顔で言ってくる白銀の髪の男性――グレア・ファブレットに突っ込んだのは、レイナス、と呼ばれた茶色の長髪を後ろに結っている青年だ。
レイナスの肩を叩いて、オレンジの髪の青年――ヴァイアーが言った。
「神南と神谷はイベントの度に何かしら作っていたからな……今年もクリスマスとグレイの誕生日、と言う事であの二人はまた何かサプライズをしてくるだろう。
そこで、今年は私たちで二人と序でにグレイにも何かサプライズをしてやろうとだな――」
「ふむ。公爵にしては中々いい案だな。
確かに、今年は俺もミオンから誕生日にアップルパイを貰ったし」
「あぁ、そういえば俺も、リオンからシュークリームの詰め合わせ貰ったな」
グレアの言葉を遮って、ヴァイアーが頷いた。
そう、ヴァイアーもレイナスも、それぞれの誕生日にミオンとリオンから好物で祝われたのだ。
「私にしては、ってどういう意味だ。
――ともかく、祝ってもらってばかりと言うのは、男として如何なものか、と言うワケで、今年は私たちから二人を祝おうと思ったんだよ」
仕切り直して言うグレアに、ふと思ったヴァイアーが質問する。
「それでなんでキッチンなんだよ?
別に料理じゃなくても良いんじゃないか?」
「ふっ、何を言ってるんだ、ゲーゼ」
ヴァイアーの質問を鼻で笑うと、グレアは得意げに言った。
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