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「お前らは料理で祝われたんだろう?なら、それ相応の労力で返す事が重要だろ。
料理には料理、だ。
ちなみに、神南と神谷の好物なら把握済みだ。
伊達に6年間、同じ屋根の下で暮らしてた訳ではないからな」
(何だろう、仕方ないとはいえ、何だかムカつく)
(クソ、羨ましすぎるだろこの白髪野郎)
グレアの言葉に、ヴァイアーとレイナスがそれぞれ思った。
二人がそう思うのは仕方のない事で、グレアの言った神南、と言う少女――神南弥王、基ミオン・ルーンはヴァイアーが片想い中の少女で、神谷、と言う少女――神谷璃王、基リオン・ヴァルフォアはレイナスの恋人である。
なので、24時間365日毎日二人と顔を合わせているグレアを疎ましく思ってしまったのは仕方のない事だ。
「えっと……俺は料理はデザートも作れるけど……公爵とレイナスはどうなんだよ?」
「俺はデザートくらいなら作れる」
「じゃあ、公爵はどうだ?」
「私か?そうだな、昨日試しに作ってみたゼリーを見てみるか?」
一番予想外の事を聞かされて、ヴァイアーとレイナスは息を飲んだ。
グレアが料理――しかも、デザートを作るような柄には見えなかった。
どんな物が出てくるんだ――?
レイナスとヴァイアーが見守る中、グレアが冷蔵庫から出した物は――。
「――は?」
「これ……何だ?」
レイナスとヴァイアーは、グレアが冷蔵庫から出した物体を疑いの目で見る。
自分の目がおかしいのか?これは何処からどう見ても、ゼリーではない。
レイナスとヴァイアーは互いの顔を見合わせた。
「何だ、って知らないのか?どこからどう見てもゼリーだろうが」
「いや、これは……」
「あのなぁ、ファブレット。この物体をどう見たらゼリーに見えるのか、俺に教えてくれ。
これはどう見てもベト〇ターだろ」
グレアが持っているトレーの中を見ると、某ポケットの中のモンスターのヘドロモンスターがそこにあった。
しかも、どんな材料を使ったのか、色がそれその物で禍々しい紫色をしている。
「「お前、もう帰れ」」
ヴァイアーとレイナスの言葉が重なる。
二人にこんな未知の代物を食べさせる訳にはいかない。
「まったく、少し期待した分損したぜ。
いいよ、俺とレイナスで二人を喜ばせようぜ」
「そうだな、こんなネズミですら避けて通りそうな代物を作る奴の料理なんか信用できねぇ」
グレアの存在をないものとし、二人は準備を始めた。
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