■一.

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 その日を境に僕はコツコツと貯金をし、またドールに関する情報を熱心に収集するようになった。生まれて初めて出来た趣味に僕は強く執着した。彼女が持っていたのは「女の子から少女へと変化する一瞬の美しさ」をコンセプトにしたエンジェルドールというブランドで、自分の好みに併せて様々なパーツをカスタマイズすることができるようだった。ベースのモデル、肌の色に始まり、100以上ある頭部パーツ、ウィッグ、瞳、まつげ……それらを組み合わせて3兆近い組み合わせから自分の好みの女の子を1点ものとして作ってもらえるという。  暫くはカタログの写真を眺め、各地のドールイベントに出かけては展示物のドールを飽きることなく見つめる毎日だったが、ある日を境に僕の中で抑えられない欲求が生まれた。  ――ドールの折原美由紀が欲しい。
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