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 ガチャリ、と扉が開く音で目が覚めた。ベッドに横たわったまま胡乱げにそちらに視線をやれば、細身の男――夏秋(なつあき)が、調子外れの鼻歌交じりで入ってくるのが見えた。確か十年くらい前に流行った歌で、今もあちこちで耳にする。ぼんやりとそこまで認識するが、まだはっきりしない頭を無理矢理に覚醒させる気にもなれず、思考を手放して再び目を瞑った。 「ちょ、お客さん放っておいて熟睡とかまじあり得ないんですけど」 「招いてもない奴を客だとは思わねぇよ」  薄目を開けて、ずかずかと部屋の奥に置いてあるベッドの脇までやってきた男を睨み付ける。男は一歩下がって肩を竦めるが、きっとこれっぽっちも反省していない。 「鍵、そろそろ買い換えた方が良いんじゃないですかぁ?」  にやりと笑った夏秋を見て、溜息を一つ落とす。諦めて身体を起こし、寝間着として着ていたTシャツを脱ぎ捨てる。タンスから新しく出した服に袖を通しながら、背後に問い掛けた。 「それで、用件は」 「次のターゲット、おおかた調べ終わったからその報告です。来須(くるす)さん早く聞きたいだろうと思って」  す、と。一瞬にして来須の纏う空気が冷える。 「聞かせろ」     
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