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 何やら神妙な面持ちで彼は言う。  彼はこんな表情もできたのか、と新たな発見ができて開発者としては嬉しい気持ちになる。  しかし、彼は嬉しそうな顔をする僕とは裏腹に真剣な顔をして言ったのだった。 「最近、感情回路の調子がおかしいのです」 「ほう?」  アレックスが投げてきた悩みに僕は一気に興味を抱いた。それを賢い彼に悟られないように身をかがめる。 「おかしいというと?」 「その、つまり」  言い淀む動作がなんとも人間らしい。瞬き一つさえスムーズにされるその造形に、開発者であるこちら側でさえ本当にロボットなのかと疑いたくなる瞬間がある。アレックスは言った。 「幸せなことのはずなのに辛いことなんて、あるのでしょうか」  彼はすがるようにこちらを見る。手でギュッと胸元のシャツを握り、視線を落としている。  僕はドクターらしく、彼を安心させるために言葉を吐いた。 「……それは、あるんじゃないのかな」  目の前のロボットが複雑な感情報告をしてくれている。それは開発者の立場としては非常に興味あるものだった。僕は興奮しそうな感情を抑え、落ち着けるように背中をソファの背もたれに預けた。 「アレックス。もしよかったらそうなった経緯や詳細を教えてくれないかな」     
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