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 ALー157。彼はその家ではアレックスと呼ばれている。  思いきり日本人顔に作られているのにアレックスとは、と初めて聞いた時は苦笑した。おそらく商品番号の「AL」から取ったのだろう。しかし彼はその名前に馴染んでいくかのように、優雅な紳士的振る舞いをその家で見せていた。そのおかげでその家の家族はすっかり彼を気に入ってくれたようだ。  それは開発に携わった僕としても嬉しい。  このロボットは我が社の目玉であり、ALー157は執事シリーズの最新機能を搭載させた自信作である。 「やあアレックス、元気でやっているかい」  その日は三ヶ月に一度の定期健診の日だった。  我が社の無料サービスで、定期的に行われるメンテナンスチェックがあるのだ。僕らはそれを『定期健診』と呼んでいる。ロボットに対して『健康診断』なんていかにもロボット社らしいネーミングである。  しかしこういった細かい部分が、我が社のロボットを購入し家族同様に過ごしてくれている利用者にとっては嬉しいことなのだ。人間に近く、より人間らしく。それは執事として身近な部分をお世話する彼らには、大切なことだったのだ。 「ドクター。僕は良好です」     
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