3、脅しと病み

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「それって今?今じゃなきゃダメなこと!?」 「当たり前でしょ」 恕の目は本気の色を浮かべていた。 「僕、明日で18歳になるから結婚できるんだよね」 恕はにっこり笑って言うと、私の手を取り両手で包み込んだ。 「い、痛いっ」 ぎゅーっと強く握られ、私は悲鳴をあげる。 「真結ちゃん、真結ちゃん愛してる。僕だけの真結ちゃんになって」 「わかった!わかったから離して!痛いよ」 周りの乗客のバカップルを見るような視線も痛かった。 脅してるのはどっちの方なのか。今までの月日を思い返しても、脅していたのはむしろ恕の方だ。他の女の子の方に行ったまま帰って来なくなったらどうしようと、常に思わされていたのだから。 恕の病みはどうやったら治せるんだろう……でも、治ったら私に興味なんかなくなるかもしれないと思うと、このままでいて欲しい気もする。うーん、複雑だ。 この時の私は、まだ恕の暴走を止められると思っていて、まさか半年後に教会で永遠の愛を誓わされることになるなんて、想像もしていなかったのである。
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