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「ふうれよ、ゆき。つもれよ、しろく~。ちゅららららら、ららら。はやしにおかに」
蜂屋さんとこの充君、元気やねぇ。今日も公園歩くん先頭さんだが。
「みつるくん、そっちはダメだよ。あぶないって、おかあさんたちにいわれたでしょ」
元気なんはええが、人の忠告を聞かへんのはあかんとこやな。わしに似たんやろか? 黄瀬さん家の柚ちゃんがおってくれるで助かりますわ。
「だいじょうぶだって。オレ、およげるもん。うわっ!」
おっと。
「あれ?」
ふう、間に合うたわ。
あんた、過保護やねぇ。これくらいの歳やと、擦り傷は男の勲章なんと違います?
「みつるくん、うている?」
ほら。そろそろ、手を離さんと怖がられますよ。
わかっとります。
「みつる、すげぇ。こけるとおもった」
「へへん。オレもや」
「そこは、すなおに、えばれや」
うむ、良い突っ込みだ、タケ。
梅村さんはタケちゃんのことになると、顔がにやけますなぁ。
ふん。可愛くないわけないだろ。
……そうですな。
「おわっ! すっげ! いま、でっかいのがはねた!」
あらあら、やっぱりお池に行ってしまうんやねぇ。
わしらもついて行きまひょか。
当たり前だ。
「こい、おる! くろいのと、あかいの!」
「みつるくん、のぞきこんだらあぶないって」
「ゆずもタケもみてみろよ! でっけぇぞぉ!」
「ほんとだ、おおきい! こいってたべられるんだって」
「そうなん?」
「うん。とうちゃんがいってた。ちいさいころ、じいちゃんとたべたって」
そうなんですか? 梅村さん。
まあ……。
ふふ。思わぬところで、自分の話題が出ると照れますよね。
照れとらん。俺は断じて。
はいはい。
おっ! お二人さん、雪や。
あらまぁ、どうりで柚ちゃんのお鼻が赤いと思った。
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