最強最弱パーティー

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「ねぇ、かえろうよ。ゆき、ふってきちゃったよ」 「え~」 「おかあさんたちにおこられるよ!」 「ぼくもかえったほうがいいとおもう」 「え~。……じゃあ、さいごにすべりだいすべってから」  しもた!  蜂屋! やめとけ!  梅村さん、なに言うてるんですか? 池に落ちてしまいますよ! 「みつるくん!」  ああ、ほら……。  充! 「た、たすけ」 「みつる。ど、どうしよ」  タケ……。 「へ?」  人を呼んでくるんだ。友達助けたいなら、全力で走れ! 「わかった!」 「え?」 「ゆずちゃん、ぼく、おかあさんたちにしらせてくる!」 「え? え? わたしは?」  柚ちゃん、あなたは充君にバタバタしないように伝えて。動かなければ人は浮くんよ。 「うん。え?」  大丈夫。大丈夫。柚ちゃん、頑張って。 「うん。ゆず、がんばる。……みつるくん、バタバタしないで! そしたら、うかぶって!」 「なに……? ガボッ! ゆず? ゲッ!」  蜂屋! 遠慮せず、行け。お前んとこの坊主もこれで池が危ないってわかったはずだ。大人の忠告ってのを、ちょっとは聴く気になるだろ。  ……そうですな。 「よかった! 充! 本当によかった!」 「頑張ったわね、充君」 「ありがとうございます。タケ君も柚ちゃんも、ありがとう」  充君、お母さんの涙を不思議なものでも見るみたいに見ていますね。  良い薬だ。  わしはやっぱり過保護やったんやろか?  痛い思いをしなければ、いつまで経っても、同じことを繰り替えす。お前がなんでも助けてしまったら、あの坊主はそれが自分の力なのだと誤解するかもしれん。 耳が痛いですわ。でも、可愛くて仕方ないんや。わしは充が生まれる前に死んでもうて、抱っこもできへんかった。なんの計らいか、充の守護霊をさせてもらえることになって、嬉しかったんや。この子は絶対に守るんやって、わしは……。  私も梅村さんも、蜂屋さんの気持ち、ようわかっております。私達も蜂屋さんと同じ気持ちですよ。 「おかあさん、ごめんなさい」  今はたくさんの人に助けてもらって生きているこの子達も、いずれ、助ける側になります。この子達に大きな災害が降りかからないよう、見守っていきましょう。  俺達がいれば、こいつらは最強だ。だが、まずは自分が弱いことを知らなければな。  そうですな……。
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