歩いていく

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「もしもこの先、どこかでもう一度偶然に一ノ瀬さんと出会ったら、それは運命なんじゃないのかな」 「運命・・・・・・」 「そんな夢を見ても、いいんじゃないかな」 「――」 「私は、そう思うよ」 切れてしまった赤い糸がもう一度繋がったら? 止まったと思った時間が、また動き出したら? それは、運命――? だけど、そこまで思って考えるのを止めた。 そんな夢物語、ありえないと思って。 そんな優しい未来、どこにもないと思って。 もう、ありもしない希望を抱くのは止めた。 もう傷つきたくないから。 「ありがとう、萌」 だけど、萌を心配させない様にニッコリと笑う。 彼と別れてから、笑顔が上手になった。 作り笑顔が上手になった。
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