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「で、どうしたの?」
「あ、本社から急ぎのファックスがきてました」
「わざわざ、ありがとう」
ニッコリと笑ってお礼を言った後、手渡された書類に目を通す。
確かに書類の上には『至急』と書かれていて、助かったと内心思う。
そして、長々と書かれている文章に目を通していると。
「望月さんって、本社から来たんですよね?」
「ん~? そうだけど?」
「志願して移ってきたって聞きましたけど、どうしてなんですか?」
文章を読みながら適当に返事をしていたけど、サラリと聞かれたその質問に思考を止める。
少年は無垢だ。
好奇心旺盛で、気になる事は何でも聞いてくる。
「――…どうしてかって?」
「だってこんな小さな支所になんでだろうって。地元でもないですよね?」
「そうだね」
ニッコリと笑って、誤魔化す。
答えを出さずに再び書類に視線を向けたけど、俊君は何も言わなかった。
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