歩いていく

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「変わらないね~望月は」 「先輩こそ。相変わらず分刻みのスケジュールなんですね」 小さなテーブルを挟んで向かい合う。 一緒に来ていた上司は他のプロジェクト先に顔を出しているとかで、先輩1人だった。 思い出の中より綺麗になっている先輩を見て目を細める。 それでも、中身はあの頃のままで嬉しくなる。 だけど、唯一違うのは左手の薬指に輝くリングが加わった事。 それを見た瞬間、胸の奥がチクリと痛んだ。 「あ、私結婚したんだ」 指輪を見ていた私に気づいたのか、先輩は長い指を裏返して私に指輪を見せてくれた。 まだ指にも馴染んでいない、キラキラと輝く真新しい指輪。 幸せそうに笑う先輩が、とても綺麗だった。 「おめでとうございます。先輩もとうとう人妻デビューですね」 「ふふ。ありがとう」 ニッコリと笑ってそう言った私に、先輩は嬉しそうに微笑んだ。 だけど、ふっと視線を下に向けてポツリと呟いた。
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