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「なぁ、柚葉」
イヤホンを束ねてバックの中に入れていると、不意に名前を呼ばれて首を傾げる。
隣に視線を向けると、私を見つめるビー玉みたいな瞳が、真っ直ぐに私を見つめていた。
そして。
「何か、一緒なもの買うか」
「え?」
「離れていても、寂しくないように」
その言葉に瞬きを繰り返す。
その意味を一瞬理解できずにいたけど、次第に理解していくうちに頬が一気に持ち上がった。
「か、買う!」
「記念にな」
「今日『記念』って言葉よく使いますね」
「そうか?」
照れ隠しなのか、視線を私に向けないでそう言った彼。
その姿に愛おしさが湧き上がって、勢いよく立ち上がった。
「行きましょ!」
なんだかもう、嬉しくて。
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