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寂しさが埋まっていく。
心に開いた穴は、彼が全部埋めてくれる。
こうやって傍にいるだけで、手を繋いでいるだけで。
「ふふ」
「前向いて歩かないと、転ぶぞ」
「も~、子供扱いしないで下さいよ」
嬉しくて何度もポケットから携帯を取り出して見つめる私に一ノ瀬さんは可笑しそうに笑った。
いつもこうやって、私に宝物をくれるんだ。
「あ、音楽聞いて帰りましょ」
「さっきのあの曲がいいな」
「え、どの曲ですか」
どんな些細な日々も輝いている。
一緒にいれば、何もかも輝いている。
あなたと一緒に見た、あの夜景の様に――――。
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