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「一緒にいるだけでいいんだよ。さすがに1人で合コンはキツイだろ」
「既婚者が合コン行くのも、同じくらいキツイけどな」
「でも、お前の嫁、今海外だろ? 時間あるなら付き合ってくれよ~」
『嫁』と聞いて、抵抗していた手の動きが止まる。
胸の奥が、なんとも言えない気持ちで押し潰されそうだったから。
そんな俺の姿を見て、最後のプッシュだと思ったのか、松田が更に俺との間合いを詰めてきた。
「頼む! 俺、この合コンに賭けてるんだ」
「――」
「もう二度と、こんなお願いしねーから」
パンッと顔の前で拝むように手を合わせた松田を横目に溜息を吐く。
そして。
「分かった」
「一ノ瀬っ!」
「後で、時間と場所メールしといて」
そう言った俺に、松田はガバリと抱き着いてくる。
もちろん、全力で引き剥がしたけど。
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