1人

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「やっぱ、持つべきものは友達だよな~」 一気にご機嫌になった松田を前に、相変わらずだなと思って笑う。 高校時代のクラスメイトで、この松田とは奇跡的に3年間ずっと同じクラスだった。 部活も同じという事もあって、俺の学生時代の思い出の中に松田は必ずいる。 大学は違ったけど、その交友は切れる事は無かった。 だから、社会人になった今も、松田とはこうやって時間が合えば飲みに来ている。 結婚した今も、時間に比較的『融通』の利く俺は、松田にとっては貴重な友人らしい。 みんな結婚した途端、以前のように簡単に飲みに出掛けれなくなったから。 「なぁ、一ノ瀬」 つまみが欲しいと思ってメニューを見ていると、不意に松田が声を上げた。 視線だけ前に座る松田に向けると、真っ赤な顔で完璧出来上がっている風貌の松田が好奇心に満ちた顔で俺を見つめた。 そして。 「結婚して良かった事って何」 そんな質問を、俺に向かって投げかけた。
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