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確かに、俺達にもあぁいう時間を過ごした時はあった。
一緒にいる時間が輝いていて、何をするにも楽しかった時期が。
でも今は、そんな時があったのかすら思い出せない。
だけど、結婚して付き合いも長くなれば、そんな甘い日々は薄れていくのは仕方のない事だと思う。
家族になったのだから、いつまでも恋人みたいな関係でいられない事くらい理解している。
それに、元々そういった事に夢を抱いていなかったから、それは不満じゃない。
「家族、か……」
だけど、思う。
彼女の描いている未来に、俺はいるのかと。
その先に、俺はいるのかと。
俺は、必要なのかと。
寂しいなんて、女々しい事言いたくない。
だけど、ぽっかりと胸に開いたままの穴は、誰も埋めてはくれない。
結婚した、という縛りだけが俺をがんじがらめにして、何も与えてくれない。
結婚しているのに、俺と彼女の世界は交わっていない。
違う世界で、生きている。
それが、虚しくて、悲しかった。
妙にセンチメンタルな気持ちになっていると、再び携帯が鳴った。
手に持っていたソレを目に映すと、松田からのメールだった。
徐にソレを開けば、先程言っていた合コンパーティーの詳細だった。
それを目に映しながら、小さく溜息を吐く。
俺は一体、何をしてるんだと思いながら――。
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