1人

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だけど、彼女の存在は俺の中でどんどん大きくなる。 心の中心が、彼女に向いていく。 その度に、自分にダメだと言い聞かせた。 引き返せと、もう1人の誰かが囁いた。 それでも。 「――っ」 重なった唇を感じた時、もう戻れないと確信した。 彼女を失う事など、考えられないと思った。 彼女は俺が既婚者だと分かっていても、それでもいいと言ってくれた。 様々な葛藤があったけど、それでもいいと。 それで頷いてしまった俺は、本当に馬鹿な男だと思う。 最低な男だと思う。 彼女に会う度に、罪悪感が胸を覆う。 彼女に対しても、『妻』に対しても。 それでも、そんな憂いも、彼女は全て優しさと愛情で溶かしてくれた。 そんな彼女の優しさに、俺は溺れていった。 甘えてしまった。
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