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12 さよならポトス
何もかもが悪すぎた。
辻上の試験前というタイミングはもちろん、
そんな時に、彼との間にギクシャクする何かが生じてしまったこと。
それでも今の未波には、それを確認することすら出来ないという現実。
お蔭で、仕事はどうにも手に付かず、小さなミスが続いてしまう。
「なんだ、米倉さんらしくないな」
「申し訳ありません」
普段は軽さの目立つ口調の課長の本間も、謝る未波に苦笑だけを返してくる。
それに別の意味で、また傷付いた。
私、そんなに痛い感じなのかな。
確かにこのところ、まともに出来ていないのは仕事ばかりではない。
現に、食欲も睡眠も減る一方。
それでも、毎朝、鏡に映る自分をやつれたとは思っていなかった。
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