12 さよならポトス

1/19
前へ
/37ページ
次へ

12 さよならポトス

何もかもが悪すぎた。 辻上の試験前というタイミングはもちろん、 そんな時に、彼との間にギクシャクする何かが生じてしまったこと。 それでも今の未波には、それを確認することすら出来ないという現実。 お蔭で、仕事はどうにも手に付かず、小さなミスが続いてしまう。 「なんだ、米倉さんらしくないな」 「申し訳ありません」 普段は軽さの目立つ口調の課長の本間も、謝る未波に苦笑だけを返してくる。 それに別の意味で、また傷付いた。 私、そんなに痛い感じなのかな。 確かにこのところ、まともに出来ていないのは仕事ばかりではない。 現に、食欲も睡眠も減る一方。 それでも、毎朝、鏡に映る自分をやつれたとは思っていなかった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加