12 さよならポトス

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だが、いつもならば軽口の一つや二つが繋がる本間が 苦笑だけに留めたということは、痛い空気でも纏っているのだろう。 そしてそんな自分には、溜息しか零れない。 しかし、そんな日々を過ごしつつも、 やっぱり未波は、辻上に連絡を取れないまま。 悶々とした時は流れ、とうとうバレンタインを迎えることになった。 『智樹くん、明日のお昼は早番? 遅番?』 バレンタイン前日の夜、帰宅してから絹矢に短くメールを打った。 すると、メールは苦手という彼から、すぐに電話が掛かってくる。 「もしもし、未波ちゃん? 俺、明日は、松本さんと一緒に遅番」 「じゃあ、席取っておくから、30分だけ一緒に食べない?」 うん!  元気に頷いた絹矢とは、短いやり取りで、すぐに電話を切る。 そして未波は、ベッド脇の座卓の上に並んだ同じ紙袋を眺めて、 小さく溜息を零した。
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