12 さよならポトス

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もちろんこれも、辻上との約束違反になることは、十分承知していた。 だが、二人にとって初めてのバレンタイン。 チョコレートくらいは許されるだろう。 それに、絹矢の目も気にして、チョコレートは全員同じ物にもした。 ただ辻上の袋の中には、こっそり合格祈願のお守りを忍ばせてある。 未波は、低いテーブルの上に並んだ五つの小さな紙袋の一つに、 そっと指を滑らせた。 レイ、どうしてるかな。 そして、心の中で呟いた途端、ふわっと視界が涙で滲む。 しかし未波は、それを必死で呑み込んだ。 どうせポトスが増えるなら、その時まで涙はとっておこう。 しかし、そう呟いてベッドに入ったこの夜も、 やはり未波は、あまり眠ることは出来なかった。
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