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「今、下にいる。そっち行ってもいいか?」
まだ、週末まで一日残っている。
それにも関わらず、ここに来たということは余程の話だろうと、
未波にも察しがつく。
だから、もちろん彼の要望に頷き返した。
しかし、玄関に現れた途端、
辻上は、ひどく辛そうな面持ちで未波を見つめた。
そして「ごめん」と呟いて、靴も脱がずに項垂れる。
もう未波には、今、彼の心の中にどんな思いが詰まっているのか
全く分からなくなった。
だから、とにかく彼を部屋に上がらせ、お茶の準備をしようとすると
「それは、後でいいから」と言われて、座卓を挟んで斜向かいに座る。
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