食事

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 そして朝の挨拶も兼ねて、 「おはようございます。今日は早いですね」  そう僕が言うと、金髪に赤い瞳のカイルが笑って、 「ははは。ちょっと早起きして剣の自主練をしていたからな」 「流石は、リゼルの師匠……リゼルも朝練一緒にやりなよ」 「……嫌だ」  僕の言葉にそっぽを向いたリゼルに、カイルが苦笑する。 「まだその気にはならないか」 「……すみません」 「いや……うん、でも訓練して強くなれば大切な人を守れるぞ」 「……分かっています」  俯く様に答えるリゼルに、カイルはそれ以上何も言わない。  このカイルは、リゼルの従兄である貴族で、剣の才がとてもある人物だ。そういった縁もあり、昔はリゼルは二つ年上のカイルに剣の師匠をしてもらっていたのだ。  ちなみに僕はというと、可愛がってくれている近所の綺麗なお兄さんであるスノーレットに魔法を教わっていた。  スノーレットは銀髪に緑の瞳をした綺麗な人で、そして初めて会った時僕は懐かしい感じがした。  そんなスノーレットは魔法使いであり、勇者候補のカイルとのコンビであり、そして……。 「それで相変わらず二人は仲がいいな」  カイルに言われた僕は仲がいいと言われたのが嬉しくて笑顔になりながら、 「幼馴染ですから」 「なるほど。レオナはリゼルが大好きなんだな」 「はい! 一番の親友ですから」  そう僕は答える。  けれど、そう答えると何故かリゼルが微妙な顔をするのだ。  何でかなと僕がいつも思っているのだけれど。  そこでカイルが楽しそうに笑い、 「ふむ。では、そのリゼルをあげるから、スノーレットを俺にくれ」 「またですか……」
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