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リゼルが剣を振りかざす。
何かを呟くと炎がまとうのが見える。
剣での攻撃は、一般的にその剣の技と魔法の技を合わせるのが一般的だ。
その一方で、魔法使いはというと複雑な呪文を唱え、離れた場所からの攻撃が中心になる。
つまり接近戦には反射した攻撃魔法も加えて、あまり向かない。
しかも魔法を即座に発動とはなかなかいかないので、一発目が勝負になる。
ただ、即座になかなかできないだけで、そこそこ魔力があれば呪文なしで魔法は使えるのだ。
でもリゼルは僕に、呪文なしの魔法は使うなと言っている。
理由は以前の出来事が関係しているが、今はそんな事を言っている場合ではないと思うのだ。
そこで、リゼルが魔物に攻撃する。魔物は風の攻撃をする。
言われた通りに幾らかは譲歩しているんだからねと僕は思った。
そして僕の呪文が完成し、
「リゼル、よけて!」
「! レオナ、魔法は……」
「“雷の鎖”」
差し出した杖から白い稲光がまっすぐに枝分かれしながら進んでいきグリフォンを攻撃する。
断末魔の悲鳴が聞こえて、やがて緑の石のようなものが落ちる。
強力な魔物は、こういった魔力の結晶を核にしてその他のちょっとした影響により変化して生まれるという。
だから魔石に設定をすることで理論上は魔物も作れるが、人工的なものはまだ弱いものしかできず、強いものをどこかに生じさせたい場合は捕らえてある場所で開放といった形にしかできない。
そこで、ミミとミロ、エストとリルが心配そうにこちらに走って来たのだった。
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