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時間はレオナ達と別れた頃にさかのぼる。
その頃、お手伝いと称して誘われて、連れていかれたミミは、何処か機嫌の良さそうなミロを見上げていた。
「それで、お話は何ですか?」
「折角二人きりになれたのに釣れないな」
「お話がないのでしたら、僕はレオナ達の所に戻ります」
「そう急かさなくてもいいじゃないか。君みたいな可愛い子と話せるのは楽しいからね」
「僕は貴方とあまり話したくありません。では」
ミミは逃げ出そうとした。
このミロという人物は、会話をしているだけで、自分の隠しているものが引きずり出される気がするのだ。
だからぼろが出ないうちに、逃げ出したいのだ。
それにミミは今の環境が気に入っている。
確かに魔王の存在は魔族の性質もあり、魅力的に感じられて世界の均衡が崩れるだのなんだのは、人間側の都合に過ぎないといった気持ちもある。
けれど、一緒に“姫”扱いされているとはいえ、リルやあのレオナと一緒に居るのは楽しかった。
初めはレオナの傍にいるリゼルという幼馴染には警戒されたが、今ではそこそこ信頼はしてもらえている気がする。
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