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「必要なら温室の薬草をこっそり分けてあげてもいいよ。その代わり君にはデートをしてもらうけれどね」
「う、え……」
「だめかな。そういった理由があっても」
じっと見つめられて、手を握られてそう囁かれると、リルはそれ以上抵抗が出来なかった。
姫と呼ばれているだけある美貌の彼は、リルには魅力的だ。
そこで頷くと、約束だよと嬉しそうに笑ってからエストが、
「それで、何を作りたかったのかな?」
「え、えっと、今度の森の演習に、バジリスクがいるかもと聞いたので。解毒剤なんかも作りたいと思って」
「なるほど。確かにそういったうわさがあるけれどあんな場所にいるとは思えないし、ただの噂だと言われているけれど……気になるならいいよ。作るといい。その材料はこの温室にも幾らかあるからあげるよ」
そうエストはリルに告げた所で、爆音が聞こえたのだった。
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