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最弱
突然やって来たリゼルがカイルに稽古をつけて欲しいと言ってきた。
何があったのか、とカイルは聞こうと思ったが、弟のような弟子でもあるリゼルのその切羽詰まった様子にまずは軽く稽古をつけることにした。
本日は別の授業の振り替えになっていたが、すでにその課題も終えたカイルは、暇を持て余して剣の訓練をしながらスノーレットと雑談していたのだがそこにリゼルが現れたのだ。
そしてその様子、つまりリゼルが一人でいるという珍しい光景に、空気を読んだスノーレットがレオナのフォローに向かったのだ。
こうして今はカイルが久しぶりに剣の稽古をつけていた。
「なかなか強くなったが、剣の太刀筋に迷いがあるな。それはレオナとの事はあるが、この感じだとこっそり練習をしていたか」
けれどそれにリゼルは答えない。
何も言わず思いつめた顔で剣をふるうのみ。
この表情は前も見たことがあったなとカイルは思い出す。
以前レオナとそんなにいつも近くにいるのはどうなんだと聞いた時、
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