最弱

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 次の日、僕達は約束の時間に校門前に集まった。  僕とリゼルが一番最後だったりするのには理由がある。  未だに急ごうとしないリゼルの手を掴み引っ張りながら、 「リル、ミミ、遅れてごめん」 「いいよ~、というかあんなに機嫌が悪いというか今も機嫌が悪いのによく連れてこれたね」 「うん、頬にキスしたらリゼルが今日一緒に来てくれるって約束してくれたから、キスしたんだ」  リルがよく連れて来れたねといったので僕は、そう答えると、二人が僕を無言でじっと見た。  しかも二人はすぐに何かを言いたそうにリゼルを見てから、気の毒そうな雰囲気になったかと思うと優しげな表情で僕を見て、ミミが、 「こんな美味しい状況、そばで観察するのが一番楽しそうだね」 「なにが?」 「ま、良いからいいから。それよりも急がないと、朝のタイムセールが始まっちゃうよ」 「! そうだった!」  ミミの言葉に僕は声を上げる。  そうなのだ、特に休みの日の今日を僕達が選んだのには理由がある。  つまりこの学園近くの商店街で行われる、本日限定のタイムセール。  安いものはもちろん、期間限定でいいものが安くなっていたりするのだ。  だからちょっと質の良い小麦粉とか、ハーブとか、保存がききそうな肉とか、瓶づめ、缶づめ、他にも色々と欲しいものが沢山ある。  折角のお外でお泊りなのだ。  少しいつもよりも奮発してもいいかもしれない。後は、 「そうだ、消臭の魔法の瓶、それも買っておかないと。でないと気付かれてしまう」  僕の言葉に皆が頷く。出来ればそこそこ数が必要だ。  事前にリストアップし損ねていたというかリゼルがいなかったから出来なかったので、ここでリストアップして四人に必要なものを書いた紙を渡す。
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