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そんなこんなで授業を受けに来た。
あ、説明を忘れていたけれど、ここはきたるべきその時……と言ってもいつ来るのかわからないそのときに特に強い力を持つ剣士、“勇者”とそのパートナーである魔法使いを養成する学校の一つである。
名前は“ミネルヴァ学園”。
一、二年目は魔法使い用、勇者を目指す魔法剣士用の特別な科目はあるけれどそれ以外は全て同じだ。
というわけで魔法剣士……でもすでに“勇者”の称号を持っているリゼルと一緒に教室にやってきた。
僕は、リゼルと一緒のクラスなので、隣同士の席に座る。
講義は席が自由なのだ。
そして早速教科書を出して、それを枕にして眠る気満々なリゼルに僕は、
「きちんと授業を聞かないと! リゼルはいざという時は“勇者”になるんだから」
それだけの力がリゼルにはあるのだ。
だから幼馴染として、リゼルを育てる義務がある! と思う。
だがそんな僕を見てリゼルがふっと自嘲じみた笑みを浮かべ、
「俺は、レオナの“勇者”でいられれば十分だ」
そうのたまう。
“あの時”以来いつもそう言って、剣の稽古もやる気を無くして勉強まで……。
昔はもっと夢中になるくらいに剣を振り回して、カイルに怒られていたのだ。
いつも僕に目を輝かせて、“勇者”になると僕に言っていたのだ。
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