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「おっ、嬢ちゃん!」
「龍姫様、お久しぶりですね」
「二人とも、お久しぶりです」
お辞儀をして言って庭先に出ると、白汪さんが満面の笑みで迎えてくれる。ゴツゴツした手が頭を撫でる。
「聞いたぜ、嬢ちゃん。商才もあるなんて凄いじゃないか」
「商才?」
「お婆様が嬉しそうに言っていましたよ。龍姫様の案が当たって、あんな立地の悪いお店でも繁盛店だと」
「そんな。私はそんな大した事はしていませんよ」
あんまり褒められるとなんだか申し訳ない。私の世界でやっている事をこっちの形で持ち込んだだけなんだ。私が考えたわけじゃない。
「私の世界でやっていることを提案しただけです」
モゴモゴと言うと、白汪さんと紅嵐さんが顔を見合わせる。次には穏やかに笑って、私の頭をぽんぽん撫でた。
「祝いの席でしょんぼりは似合わないぜ、嬢ちゃん」
「少し生真面目なのかもしれませんね、龍姫様は。物憂げな顔など、貴方には似合いませんよ」
そう言って励ましてくれる二人に笑いかけて、私も気持ちを持ち直した。
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