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披露の儀式が終わって二日後、私は現在白縁に腕を掴まれ街中を疾走中です。
「ちょっと、白縁! どこ行くのよ!」
「いいから来いって!」
わくわくした子供みたいな目で言うから、多分悪い事じゃない。
とは思うけれど、さすがに白縁のペースで走り続けると転ける!
「まった白縁! この速さだと私転ぶ!」
「え? あっ、そっか!」
「のわ!」
急に止まるもんだから、私は止まれなくて本当に転びそうになる。
たたらを踏んだ私の腕を掴んで引き戻した白縁は、途端にしょぼくれた反省顔になった。
「悪い、ちょっと強引で。ただ、お前に見せたいものがあって」
「見せたいもの?」
私がしっかりと立ったのを見て、白縁は歩き出す。今度は私の速さに合わせてくれるようだ。
「私に見せたいものって?」
「それを先に言ったら楽しみ減るだろ。絶対楽しいから、とりあえずついてこいよ」
「どこに?」
「…港町」
港町は宮殿のある都を出て、少し歩いた所にある。中型船や小型船が主だけれど、大型船も停泊できる活気のある場所だ。
でも、港町に行くって事は、目的は船?
けれどそれ以上は教えてくれないらしくて、白縁はズンズン歩いて行く。その足は自然と速まって、結局また小走りみたいになった。
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