白花の屋敷

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「前に桃園の祭りに行っただろ? あのお妃様の娘の家系だ。基本、龍王の血筋でも娘は嫁に出されるからな」 「そうなんだ」  そんな事を話していると、屋敷まであっという間についてしまう。なんとなく品がある佇まいをしている気がする。派手じゃあいけれど、綺麗な彫り込みがしてあった。 「俺の父親がさ、母親を見初めて。まぁ、元々俺の家は豪商だし、貴族の血も入ってたから、そこらの庶民とは違ってたみたいだけど、流石に龍王の血を引いてるような良家とは見合わないって言われたらしい。でも、親父が熱心に母親を口説いて」 「お母さんもお父さんの事を好きになったんだ」 「そんなところだな」  なんだか素敵な話だ。だって、ロマンチックじゃないか。身分違いの恋なんて、ちょっと憧れる。  まぁ、私の今の状況も十分ありえん感じなんだが。 「仲のいい両親だったぜ。親父は母親にベタ惚れだったし、母親も芯は強くても穏やかな人だったから」 「白縁は誰に似たんだろう?」 「祖母さんだろうな」 「なるほど」  それは納得だ。白縁と珠琵お婆ちゃんはなんだかとっても似ているから。  屋敷に入ると出迎えてくれたのは、白汪さんと紅嵐さんだった。二人は庭先で一緒に飲んでいて、なんだかとっても仲が良かった。
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