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「私ね、トモちゃんの家に、火点けちゃったの……」
脳髄に金槌で殴られた様な衝撃が走った。瞬時に頭の中が真っ白になり、視界が霞んだ。
対象を人間に移したミサのヤキモチは、嫉妬へと変わり、狂気を帯びていた。
霞む視界の中で、ミサがしきりに叫んでいた。しかし、ミサの声は声として僕の耳に届かず、
「ドウシヨウ、ネエ、ワタシドウシタライイ」
という音として聴こえた。
どこか遠くで消防車がけたたましいサイレンを鳴らしていた。
僕はふらふらと窓に近付き、カーテンを開けた。遠くの方に夜の闇に浮かぶ赤い炎が見えた。灰色の煙が止めどなく立ち上ぼり、低空に黒い雲を造っていた。その場所はミサの親友、トモちゃんの家がある辺りだった。
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