29(承前)

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 タツオの班の抗12型が樹海のなかに隠れるとサイレンの轟音とともに、実弾訓練が始まった。  定刻のヒトマルマルマル(10:00)である。 「くそっ、AI制御とはいっても、こんな深い緑のなかじゃ動きにくいな」  6足歩行のロボット兵器の操縦に苦戦しているのはクニだった。サイコが叫んだ。 「じっとしてなさい。あなたはわたしの盾になってればいいの」  チーム伊は窪地に、チーム呂はそこから八十メートルほど離れた小高い丘に展開している。タツオは中間地点で、抗12型に樹海の樹々の枝をさしカモフラージュして潜んでいた。
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