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狙撃銃の銃声が樹海に響いて、サイコの高揚した声が続いた。
「敵ドローン二機目撃墜。今日のわたしは冴えてるみたい」
展開は悪くはないようだった。この調子で敵の航空戦力を削り、樹海の深部に敵地上戦力を引きずりこみゲリラ戦にもちこめば、すくなくとも勝率は半々まで上昇するだろう。
すぐに狙撃銃の轟音がきこえた。タツオの抗12型の装甲につけられた集音マイクが、その音を何倍にも強く響かせる。この6足歩行ロボットはセンサーの塊(かたまり)でもある。
「サイコちゃん、わたしもやったよ。幸野丸美少尉、ドローン一機撃墜」
近接用の抗12型の機銃ではなく、狙撃銃をもちこむというのは、敵の想定外だったようだ。半数におよぶ3機を落とされて、迷彩ドローンが空中を滑るように撤退していく。強い西風にあおられて、左右にぶれるように飛行を続けた。
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