黒い影

6/22
3696人が本棚に入れています
本棚に追加
/434ページ
入っていたのは、一枚の白い紙。 なんだろう? と思いながら、綺麗に折りたたまれたそれを開く。 だけど、その瞬間息が止まった。 目の前に広がる文字を目を見開いて見つめる。 「どした」 私の異変に気づいたのか、隣に立っていた櫻井さんの視線が向けられる。 その瞬間、無意識に広げてあった紙を隠した。 「いえ……なんでもありません」 「?」 「ただのDMでした」 「お疲れ様でした」 「お疲れ」 頭を下げた私に、櫻井さんが右手を上げながらそう言う。 そして、櫻井さんの部屋の扉が閉まった途端、くしゃくしゃになった紙を広げた。 バクバクと心臓が早鐘の様に鳴る。 見間違いじゃない。 なに、これ……。
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!