第1章 出会い

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初めは触れるだけのキスだったのに、そのうち深く私の口内で動きだした舌。 何度も角度を変えて、口内を犯していく。 相も変わらず両腕を壁に押し当てて、私を逃がさないように立っている純。 そんな事しなくても逃げないのに。 しばらくして、クチュっと水気の帯びた音と共に唇が離れた。 ゆっくりと長い睫毛を上げた純と目が合う。 加虐精神を刺激された彼は、変わらず無表情の私を見て、面白い、と小さく呟いて不敵に笑った。 「本当、もえる。――これ、俺の番号。連絡待ってる」 そう言って私のスーツのポケットに名刺を差し込んだ彼は、スタスタと席に帰って行った。 「はぁ……」 思わず深い溜息が出る。 せっかく口紅直したのに、落ちてしまった。 直して来よう。 そう思って、またお手洗いの方に向かおうと踵を返すと。
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