第1章 出会い

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放心状態の私を置いて、部長がツラツラと何か話している。 そんな声も全く頭の中に入っていかず、ポカンと口を開けたまま固まる。 そのうち、新主任の紹介が終わり、ゆっくりと会議室から人が抜けていく。 徐々に、さっきまで見えなかった新主任の姿が徐々に見えてくる。 もちろん美咲も気づいたみたいで、信じられない。と言わんばかりの顔をして固まっている。 前に立っている、部長と遠藤主任と……その人。 さくらい、かける。 ――櫻井、主任。 その姿はあの日見た姿と同じで、完璧なまでにスーツを着こなしている。 眩暈がしそうだった。 予想もしなかった展開に、言葉が落ちない。 だって、つい先週居酒屋で見た顔がそこにある。 呆然とする私達を置いて、そのうちゾロゾロと前の出口から出ていく部長達。 でも、ふとこっちを見て僅かに驚いた顔をした彼。 それでも、何事も無かったように再び部長達と話しながら部屋を後にした。 残されたのは、呆然と立ちすくむ私と美咲だけだった――。
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