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昼間のアレーー…。
というと、『アレ』だよね。
でも――。
「アレって?」
悪足掻きのつもりで、しらばっくれてみる。
そんな往生際の悪い私の顔を見て、いい度胸だと言わんばかりに微笑んだ櫻井さん。
更に私の足の間に片足を捻じ込んで、間合いを詰めてきた。
「可愛い後輩から慕われているようだな」
「――」
「いい先輩だな」
「えっと……」
「職場のみならず、プライベートでもお世話してやるとは」
じっと私の顔を見つめる、獲物を追い詰めるような瞳。
ゴクリと生唾を飲んだ私を、ジリジリと追い込んでいく。
ヤバイ。と思いつつも、胸が妙に騒ぐ。
微かに香る香水と煙草の香りが、麻薬のように理性を壊していく。
こんな状況なのにドキドキする。
いや、こんな状況だからか。
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