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「櫻井さんっ。なんでいるんですかっ」
「自分の家にいて何が悪い」
軽く睨まれて、あぁそっか、と納得した。
忘れていた。
そういえば、隣の部屋の住人だった。
「お疲れ様です」
「ん」
着崩してはいるものの、まだスーツ姿だったから、無意識にお辞儀して挨拶が出た。
たまに、上司の『櫻井さん』と『駆』との接し方の違いに今でも戸惑う。
「珍しいですね、こんな早くに帰ってくるの」
「あぁ、外で会議だったから、そのまま直帰した」
そういえば、今日は都内のホテルで役員会議だったっけ。
相変わらず、忙しく走り回っている人だな。
「お疲れ様でした」
「ん」
再び頭を下げた私に、視線だけ向けた櫻井さん。
その綺麗な横顔に、思わず見惚れてしまいそうになる。
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