所詮大人も子供 ~episode5~

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久しぶりのプライベートでのこういう時間。 まるで付き合う前みたい。 そんな事を思いながら隣を盗み見ていると、慣れた手つきで煙草に火を点けた櫻井さん。 気怠そうに煙を空に吐き出して、大きく溜息を吐いた。 仕事場では見られない、なんとも気の抜けたその姿。 私にだけ見せてくれると思うと、嬉しくて頬が上がる。 「櫻井さん」 「ん~」 「私にも一本下さい」 あんまり美味しそうに吸うもんだから、なんだか久しぶりに吸いたくなった。 ベランダ越しに手を出して煙草を貰おうとする。 そんな私を、くわえ煙草のまま、チラッと見た櫻井さん。 そして、再び真っ暗な空に白い雲を作ってから。 「ダメ」 そう言って、意地悪そうに笑った。 「え、なんで」 「体に悪いから」 「自分はヘビースモーカーじゃないですか」 「俺はいいんだ」 「それ理由になってませんよ」 納得のいかない言葉で捻じ伏せられ、ムッとする。 そんな私を見て、櫻井さんは吸っていた煙草をもみ消した。 なんだかその姿に少しムッとして、意地悪心に火が点いて口を開いた。
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