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「そういえば、付き合う前に純さんから聞きましたよ」
「何を」
「櫻井さんは、昔から言葉足らずで不器用だったって」
「不器用？」
「大切な言葉を内に秘めるから、周りに誤解される事が多いって」
「――」
「あと、２つの事を同時にできないって」
『アイツ器用そうな顔して、違う事同時に一緒にできねーの』
『え、例えば？』
『飯食べながらテレビはまず見れないな』
『テレビに集中しちゃうから？』
『ずっと固まってテレビ見てる』
思い出し笑いをしそうになって、必死に耐える。
あの百戦錬磨の櫻井さんにも、そう言う一面があるのだと知って、あの頃は嬉しかった。
確かに、私と同じで何かに没頭すると櫻井さんも周りが見えなくなるタイプだ。
そして、自分の考えを内に秘めるタイプ。
たまに、何を考えているか分からないって周りから言われる事がある。
櫻井さんもその節があるから、私と同じように思われた経験もあるだろう。
『さめている』だとか『冷たい』って言われた事が。
「言葉足らずで間違って伝わったら、誤解されちゃいますよ？」
今回の煙草の件だって、そう。
きっと、私の体を心配してくれたんだろうけど、あの言葉だけじゃ理不尽だ！ って思われても仕方ない。
そういった小さな誤解が降り積もれば、いつかは山となって爆発してしまう。
これから上に立つであろう人なんだから、少しづつ自分を変えていかないと。
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