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僕は外国人、田原悠一
青い瞳、金色の髪。日本人よりも白い肌。鏡を見ると、そこにはいつも外国人がいる。
僕はこいつが嫌いだ。そもそも外国人というもの自体、気に入らない。
「いつまで鏡見てるの?」
と、思春期の息子が自分の顔をあきるほど見ていると思い込んでいる母が、クスリと笑った。
母はアメリカ人と日本人のハーフで、外見はどちらかというと日系の顔だ。その母と日本人の父との間に生まれた、クウォーターの僕。僕だけが、アメリカ人の血を濃く受け継いでしまったのか、こんな容姿になったのである。
ここは日本。
町を歩けば、じろじろ見られる。学校の廊下を歩けば、みんなが振り返る。これが、「あの人かっこいいよね」とかそういうたぐいのものだったら、僕はどれだけ鼻を高くして歩けるのだろう。
異質。
今は外国人もたくさん日本で暮らしているが、こんなドのつく田舎では未だに珍しがられる。
そんな目で見られる毎日に、僕は14年たった今でもまだ慣れない。
「早くごはん食べちゃってよ」
母を見ると、がっかりする。どうして僕より日本人なんだよ、と。
母は人生の半分を海外で暮らしている。日本に来たのは20何年か前。それで父と出会って結婚した。まったく、迷惑な話だよ。
なんで日本に住んじゃったんだ。しかもこんな田舎に。もっとほかにあっただろ!と心底思う。
まあ、そんなこと言えないけど。
「時間、いいのか?」
向かい側に座っている父が、腕時計を見て言った。
僕は白飯をかきこみ、麦茶を一気に飲みほした。
やっぱ朝はごはんに限る。
「行ってきま~す」
と玄関を出ようとすると、奥から「いってらっしゃい」と声がした。
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