宇宙からの侵略者、アリス

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 僕は何者なのか。それが頭の中をぐるぐるまわっていた。妙にイライラする。あいつが来てからだ。 みんなはあいつのことを、抵抗せずにすぐに受け入れた。僕は時間がかかったのに。いやいや、別に比べているわけではない。僕と彼女の相違点。そう!それを見つけているだけだ。僕は日本人、あいつは外国人。その区切りをはっきりとしたかった。 日本人の仲間意識を利用し、転校生という特別な枠で一気に日本に溶け込もうとするあいつが腹立たしかった。僕にできなかったこと。この日本人離れした顔が邪魔をするからだ。 日本人のような外国人。 外国人のような日本人。 僕には大きな問題だった。「外国人」というのは、僕の個性の一部でもあったからだ。いままでは自分でもそれを軽蔑視していたけど、やっぱり自分自身の中には「お前らとは違う」という概念がどこかにあったんだと思う。 もう、その枠は僕にはない。 本物の「外国人」がやってきたからだ。本物がやってくると、誰も偽物のほうになんか見向きもしない。しかもそっちの方が馴染みやすかったら…。 じゃあ僕はどうだったんだ? 僕が外国へ行けば、受け入れられるのか? この、日本人らしい古風な考え方をもつ堅物な僕を。誰が受け入れてくれるのだろう。それは無理だ。日本人の性格は、日本人同士でしか通じない。それは島国であるこの地が、何年もの時を経て外国人と交わらず、自分たちの文化を築いてきたからだ。
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