只今、不思議捜査中~東のはずれで犬が鳴く~

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「おじちゃん、神様ってお鼻が大きくて背が高い男の人なんだね。キレイな女の人もいたね」  大翔の言葉にハッとなり顔を向けると「大翔、見えたのか」と思わず訊いていた。 「うん」  こいつは凄い。もしかしたら自分よりも霊感が強いのかも。 「あっ、それとおじちゃんのこと褒めていたよ」 「えっ、褒めていた」 「うん、自分以外の人の願いを言うとは感心だって。それって偉いってことでしょ」 「ああ」  なんだか照れ臭い。それにしても大翔と話していると子供と思えないときがある。本当に五歳なのだろうか。もしかしたら、この子は自分よりも魂年齢が上なのかもしれない。魂年齢は目に見えないからな。 「あっ、呼んでいる」  んっ、どうした?  大翔が急に駆け出した。狛犬が気になったのか一回立ち止まり頭を下げて再び駆け出す。呼んでいるっていったい誰が。何も聞えなかったけど。  いや、聞える。んっ、太鼓か。違う、鼓(つづみ)かもしれない。鼓の音は関係ないか。  あっ、追いかけなきゃ。 「大翔、走っちゃダメだ。待てって」 「あの者はもしや」  狛犬は大翔に目を向けている。  狛犬の呟きが気になったが大翔が鳥居を出て曲がって行ってしまうのを見て卓史は駆け出した。それでも卓史は鳥居を出たところでお辞儀することを忘れなかった。 「おーい、大翔止まれ」
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