只今、不思議捜査中~東のはずれで犬が鳴く~

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 海まで続く坂道を下っていく。その先に犬岩がある。  大翔がまた走り出さないようにと手を繋いで歩くことにした。さっきの大翔には何が起きたのだろうか。霊的なものならすぐにわかるはずなのに、何も感じなかった。わからない。楽しそうに笑んでいる大翔はいつもの大翔だけど。  考えてもわからないことは考えるだけ無駄だ。  そういえば、この先にサルエビのかき揚げ定食のある店があったな。休みとか話していたけど、連休に休むのかと疑問もある。何か特別な理由があるのだろうか。  もうじき店だ。そう思っていたら、ツーリングをしてきたと思われるバイクの二人組が店の駐車場へと入っていく。  なんだ、やっているじゃないか。車も結構止まっている。繁盛しているようだ。やっぱりテレビの影響力はすごい。昔はこんなに客がいなかったのではないかと勝手に思ってしまうのは失礼だろう。けど、そんな気がしてしまう。いや、そんなことはないか。客が来なかったらとっくに閉店しているはずだ。  サルエビのかき揚げ食べたかったな。腹がいっぱいで胃が食物通行禁止だと訴えている。残念だ。明日、早めに食べにこよう。それがいい。  犬若食堂の看板を横目に犬岩のほうへ歩みを進める。道の向こう側へと渡ると犬岩についての説明書きの看板が目に留まる。けど、大翔は気にも留めずにどんどん進み、引っ張られるように看板を通り過ぎた。まあいいか。ある程度知っているからな。
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